〔055〕五竜岳 (2,814m)
2005年09月16日(当時56歳)
黒菱駐車場 | 八方池山荘 | 八方池 | 唐松岳小屋 | 最低鞍部 | 遠見尾根分岐 | 五竜山荘 | 五竜岳 |
5時53分 | 6時33分 | 7時20分 | 9時00分 | ---- | 10時45分 | 10時48分 | 11時44分 |
五竜岳 | 五竜山荘 | 遠見尾根分岐 | 最低鞍部 | 唐松岳小屋 | 八方池 | 八方池小屋 | 黒菱駐車場 |
12時07分 | 12時47分 | ---- | ---- | 14時25分 | 15時56分 | 16時45分 | 17時26分 |
深田久弥著の「日本百名山」から
それはまるで岩のコブだらけの筋骨隆々といった上体を現している。 (略)更に立派な五竜岳を
見たい人は唐松岳の上から眺めることだ。 そこからの五竜は壮大である。 越中側の餓鬼谷の
底から頂上まで一気にせりあげた姿勢は実に堂々としている。
前日の移動
会社を終えて19時に出発し、高速道路を早く走っても深夜0時より早くは着かないであろうから、120km/h前後で走り切る。 糸魚川インターを0時半に出て国道148号線を走り、八方スキー場の林道終点、黒菱駐車場に着いた。
八方スキー場
若い頃、八方へはスキーシーズンに何度も訪れており、スキーは下手糞なのに空いている上級者コースの黒菱、兎平まで上がり、整地されていないゲレンデをもがき苦しみ滑り降りたものだった。
朝、起きて雪の無いゲレンデを眺めてみるとその当時と変わらない雰囲気が残っており懐かしかった。
八方尾根からの登山
リフトを乗り継ぎ八方池小屋から登り始めるのが一般的であるが、夏季のリフト運転時間、特に平日は8:30〜16:30しかないので今回は時間稼ぎで駐車場からの自力歩きとする。
駐車場横にある黒菱第3ペアリフト乗場。
この後に古いが綺麗に掃除されたトイレがあった。
林道は更に延びているが一般車は黒菱駐車所でクローズされていた。
5時53分、ゲートを通り、林道を歩き始める。
前日は林道終点、黒菱の駐車場で車中泊とした。
先行車が3台停まっているが人影は見当たらない。
前日に泊りで登られているのか?
左端の落込みが不帰ノ嶮、天狗ノ頭(2,812m)、鑓ヶ岳(2,903m)、杓子岳(2,812m)、
白馬岳(2,932m)更に北側(写真で右側)まで縦走路が続いているらしい。
東京からの女の子二人
八方尾根は1人で独占と思っていたが、前に女の子2人が歩いており、八方池のところで追いついた。
東京から来て、前夜は ”八方池山荘”に泊ったらしい。 道理で俺より先に歩いているはずだ。
今夜は ”五竜山荘”に泊るらしく2泊で ”五竜岳”に登るとか。 俺は日帰りだと言うと、
”冗談でしょう”と相手にしてくれなかった。 ゆっくり話している時間がないので先を急ぐ。
1時間47分歩いた地点から振り返り見た ”八方尾根”には
”八方池”が見えていた。 ガスが後を追っかけて上がって来た。
”八方尾根”のこれからの登りを見ると、まだまだ先は長い。
ただ、尾根筋をトレースするのではなく、トラバースしているので
アップダウンは比較的少なかった様に思えた。
”八方尾根”も終盤になるとガレ場の崩落帯に出る。
繊維で出来たネットで覆っているが落石防止には約に立ちそうにない。
落石が怖いのでさっさと通り過ぎる。
9時丁度、3時間07分にて ”唐松岳山荘”に着く。
”唐松岳山荘”からは正面に ”立山連峰”、”剱岳”の大パノラマが広がっていた。
滑落の危険性が高い ”牛首”の崖道に入って行く。
林道をリフト2本分歩くと40分で ”八方池山荘”に着く。
天気は良くなり眼下には雲海が広がる。
”八方池山荘”から第2ケルンまでは遊歩道と尾根筋の
登山道が併設されており、登山道を歩くことにする。
3日後に登る予定の ”白馬岳”。 本当にあれを歩いて登るのか!
不安が過ぎって来る。登らなくても、この大展望が得られただけで
充分ではないかとも思ってしまう。
八方尾根の登山道のあるヤセ尾根。
危険箇所も無く、きつい登りも無いが兎に角、行程が長い。
尾根から左側を見ればこれから登る ”五竜岳”と明日登る予定の ”鹿島槍ヶ岳”の
双耳峰が聳えていた。 天気は最高であるが、ガスが不気味に上がって来た。
7時05分、トレッキングコース用に設置された公衆トイレに着く。
八方尾根は標高が増す程、樹林帯となっていく。 その原因は標高的
に下の方に蛇紋岩が多く、樹木の生長を阻害しているかららしい。
尾根道から ”八方池”を見る。 後の岩峰は ”不帰ノ嶮”。 ”八方池”には下山時に寄ってみたい。
赤い実をたわわに実らせている ”ナナカマド”。
高山植物は紫のトリカブト、リンドウが咲いて
いる位で花のシーズンは終わっていた。
同地点から見た ”五竜岳”。 この先、どれくらい歩けばあの山頂に立てるのか?
”鑓ヶ岳”も ”白馬岳”も同じ位の視線で見れる位に標高を稼いで来た。
登山道で3匹の ”ライチョウ”に行く手を阻まれる。
まだ雛鳥なのか、近寄っても逃げようとしない。
”唐松岳山荘”から見た ”唐松岳”(2,696m)。
30分で往復出来るようであるが、今日は時間に余裕が無いので割愛する。
”牛首”からは急峻な崖をトラバースしながら下る。
危険箇所には鎖が設置してあるが、細く錆びた部分
もあるので全体重を掛けると切れそうな感じがした。
この岩峰をトラバースして行くのだが、下は急峻な崖であり、
鎖の設置ががなければ怖くて通る気になれない。
3時間30分経った地点から ”五竜岳”を見る。 まだ見えていない ”五竜岳山荘”は
ここから大きく下った地点にありそうだ。 下山時にはここを登り返す必要があるのだ。
長い下りから登り返し、4時間55分で ”五竜岳山荘”に着く。
又、登山道を ”ライチョウ”が先行して歩いてくれた。
固まって5匹居た。これだけ居ると雷鳥の有り難味がなくなってくる。
山頂へは険しい岩壁をよじ登って行く。 これが中々スリリングだが、
先行のおばちゃんに邪魔されて時間が掛かってしまった。
5時間51分、”五竜岳”(2,814m)に着く。 日帰り目標タイムの
6時間を僅かに切ったので日帰りすることに決めた。 ここも年寄りば
かりが沢山登ってきていた。 その内の1人は ”五竜岳”で97山目ら
しい。 これからは百名山亡者が続々と百座達成する時期なのだろう。
下山時の ”五竜岳山荘”で東京からの女の子と再会する。 ”本当に日帰りするんだー!”と驚いて居たが、山頂からの展望を得るには小屋に泊らなければならないメカニズムを教えてあげた。 夜、気温が下がり湿度を持った空気は地表に向けて下がっていく、これが雲海になる。
朝、太陽の
日差しで気温が上がり、雲海の湿度を持った空気は暖められて上昇を始め、9時前後には山頂付近に到達する。 上昇した空気は冷やされてどんどんガス化していく。
だから山小屋に泊まって早朝に山頂に行かないとガスの無い絶景は得られない。 明日の午前中ならクリアーな山頂に立てるだろう。
下山時の鎖場で登りの人とすれ違ったので高度感を出すために
モデルになって貰った。
時間に余裕が出来た訳ではないが、下山時に
”八方池”を散策してみた。
”八方池”から ”八方尾根”を見る。
尖がっているのがトレッキングコース終点の第三ケルン。
30Lのバックは3980円、ズボンは職人の店ですそ直しをして
千円、Tシャツは同じく職人の店で350円、いつまで経っても
貧乏性は直らない。